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四十 ゴルゴダのイエズス
さて救い主は城壁とカルワリオ山の間の、石の多いデコボコ道を駆りたてられて進まれた。ここでイエズスは六度目にまた倒れた。しかしかれらはますます激しく打ちたたきつつ、主を頂上に至るまで駆り立てた。そこで主はまた倒れた。七度目である。
かれらはシレネのシモンをまたいじめた。かれは怒りと同情で心も張り裂けんばかりであった。かれは再び主を助け起こそうとした。しかし獄吏たちはかれを突き飛ばしたり、侮辱したりしてわきに追いやった。かれはその後間もなく弟子に加わった。またいっしょに来た他の野次馬や手伝いたちも追い戻された。ファリサイ人たちはよい道を馬で登って来た。カルワリオ山の頂上は円形で低い土塀に囲まれていた。百人のローマ兵もまたそこに整列した。一部の兵は山腹にも立っていた。二、三人の者が二人の強盗の見張りをしたいた。強盗らはまだ頂上まで連れて来られずに、下の方であおむけに倒されていた。非常に大勢いた民衆の大部分は、汚れることを気にかけない卑しい人々であった。かれらは周囲の壁に、あるいは附近の高い処に立っていた。
主が十字架と共に刑場に連れ込まれ、シモンが再び追いやられたのは十二時少し前であった。かれらは倒れているイエズスを縄で引っぱり起こした。そして十字架の横木の縄をほどいた。
ああ、イエズスはみじめにも残酷な生傷におおわれ、血だらけの青ざめた姿で刑場に立たれた。かれらは主をあざけりながら突き飛ばした。「わしらはあんたの王座の寸法を取らねばなりませんからねえ。ヘエ王さま。」主はしかし自ら十字架の上に横たわれた。主はいたましくもすばやくされたので、かれらはほとんど主を突き倒す必要もないほどであった。かれらは主を十字架の上に引きのばして、手と足の場所にしるしをつけ、再び主を引きずり起こした。そして約七十歩ほど離れた山腹の穴倉のような岩穴に連れて行き、扉を開けて主を無慈悲にもそこへ突き落とした。もし奇跡がなければ膝を固い石床で打ち砕くところであった。かれらは扉をしめて見張りを置いた。わたしも七十歩をいっしょに歩いた。またわたしには主の突き落とされた時、けがをされぬように主が天使に支えられたように思われた。獄吏たちは準備をはじめた。刑場の中央に二、三段ばかり段のついた二尺ほどの高処があった。そこに十字架を立てる穴が三つ掘られた。強盗の二つの十字架の幹は左右にたてえられた。それはイエズスの十字架より低く、上は斜めに鋸でひいてあった。強盗たちの両手がまだしっかりと縛りつけてある横木は、あとになって磔刑の時、幹の上のはしのすぐ下に釘付けにされた。
獄吏たちは救い主の十字架を引っぱり起こして掘り下げた穴に入れやすいように釘付けの場所においた。かれは左右に腕木をはめ込み、足台の切り株を釘付けした。そし釘穴を穿ち、はめ込んだ腕木にくさびを打った。それから横木のついた棒杭を十字架の丘の後方の地面に打ち込んだ。そしてその上に綱を張って十字架を引き上げられるようにした。