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四一 マリアと聖婦人たち
わたしは聖母が十字架の山を登って行かれるのを見た。マグダレナ、マルタ、他の婦人たち、また二、三人の子供らもいっしょであった。かの女らは全部で十七人であった。かの女らはならず者の嘲笑いを少しも気にかけず、一心に思いつめて登って行ったが、その悲しみ憂える様子は見る者をして畏敬の念を起こさせた。聖母はおん子の足跡を見つけられ、他の者にその聖なる場所を示された。
ベロニカの家でかの女らは立ちどまり、その中に入った。それはピラトが部隊と共に行進して来たからである。一同はそこで救い主のお顔を写した汗拭きを涙と悲嘆のうちに眺め、イエズスの愛を賛美した。かの女らはベロニカが主におささげすることのできなかった薬味入りのぶどう酒をたずさえて山に登って行った。さらに何人かの善意の人々が加わった。その中には男もいた。一同が行列をつくって進んで行く有様は非常に感動的であった。聖マリアがこの道すがら、忍ばれた事柄はとても言い表すことができない。聖母はイエズスと共にあらゆる苦しみをお忍びになった。マグダレナは苦しみに打ちひしがれ、半ば狂ったようであった。かの女を他の者は始終ささえ、またさとし、人目にたたないようにしてやらねばならなかった。
そうこうするうちにようやくかれらは山の頂に着いた。聖マリアにとってそれは何たる光景だろう。刑場 - 十字架の丘 - 地上に恐ろしい十字架がころがされている。 - 槌 - 綱 - 恐るべき釘 - その間に立ち混じって悪口を吐く残虐な酔いどれの刑吏 - 。強盗のかけられる十字架の杭はすでにたてられて、そして登って行くことができるように穿たれた穴には栓が打ち込まれてあった。イエズスがそこにおいでにならなかったことは聖母の殉教の苦しみを長びかせた。聖母はイエズスがまだ生きておられることを知っておん子に会おうとされた。しかし聖母は恐ろしい苦しみの主を一瞥するや、ふるえおののかれた。