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四二  イエズスおん衣をはがれたもう



 さて、四人の獄吏たちは岩穴に下りて行ってイエズスを引き出した。主は岩穴の中で神に力づけを願い、また敵の罪のためにご自身を改めてささげられた。獄吏は主をご苦難の最後の場所へ引きずって来た。民衆は叫び声を上げ、そして罵った。兵士たちは冷静厳粛に不動の姿勢をしていた。獄吏はあらあらしく主を受け取って自分らの方へ引いて来た。

 聖婦人たちは一人の男に金を持って行かせ獄吏に与えた。そしてかの女たちは薬味入りのぶどう酒を主に手渡そうとしたのである。かの女たちは主を力づけようとした。しかし悪党たちは主には何も飲ませず、あとで自分らでそのぶどう酒を飲んでしまった。かれらは二つの茶色の容器を持っていた。一つには酢と胆汁が入っており、他の方には苦よもぎと没薬のまじっている一種のぶどう酒が入っていた。このぶどう酒の方を杯に移して主の唇に持って行ったが、主は少しばかり口にされただけで、お飲みにならなかった。刑場には十八人の獄吏が働いていた。

 かれらは主からその上半身をまとっていたマントをむしり取った。次いで帯枷と主自身の帯を取った。それから白い上着を頭から引ったくり、また細長い布を主の肩から剥ぎ取った。聖母がおん子のために織られた縫い目のない茶色の下着は、巾の広いいばらの冠の上からはずすことができないので、冠を一旦ひきはずして下着をまくりあげ、血と傷におおわれた頭から脱がせた。人の子の体は血、むちのあと、傷、みみずばれ、痣そのものであった。そして主は打ちふるえつつ立ちたもうた。主の全身は見るも恐ろしいほどに引き裂かれ、はれ上がり、肩は骨まで肉が裂けていた。イエズスはもはやそのままうずくまり、倒れそうになった。獄吏たちはそこにころがっている大きな石の上に主をこしかけさせた。かれらは再びいばらの冠を主にかぶせ、酢と胆の入っているぶどう酒を飲むように命じたが、主は黙ってその顔を横に向けられた。




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