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六三 晩餐の広間の弟子
私はニコデモが晩餐の広間の前の開け放しの玄関で、使徒や聖婦人や一部の弟子たちのために、食事の用意をしているのを見た。トマスはいなかった。ここで行われていたことは、すべてイエズスの指示によっていた。
主は晩餐の折、主の両側で食したペトロとヨハネに、聖なる秘跡について指示を与え、さらに他の者たちに教えることを委ねられた。
それで私は、輪を作って並んでいる八人の使徒たちに、まずペトロ、次いでヨハネが、主がかれらに委ねられた秘事を伝えているのを見た。この伝授の後、九人の聖婦人たちも広間に入って来た。ペトロはかの女らと語り、またすこしばかり教えた。
ヨハネは扉の方に行き、主と一緒にもっとも永くいた十七人の選ばれた弟子を迎え入れ、洗足や式服着用の世話をした。マテオはペトロからベタニアに遣わされた。それはかれがそこで他の大勢の弟子たちと食事を共にし、たった今ペトロの口から聞いたことをかれらに教えるためであった。
さて一同は食卓についた。その一隅に婦人たちが座った。彼女たちもまた式服を着ていた。
その中央にはペトロとヨハネが互いに向かい合って座り、男子の列と婦人の間を離した。
食事の間、ペトロとヨハネが教えた。その終わりに一枚の平たいパンがペトロの所に持って来られたが、かれはそれを小さく分けて他の人たちに与えた。次いでまたおおきな鉢が回され、一同はそれを飲んだ。しかしこれは聖き秘跡ではなく単なる愛餐であった。ペトロはその時、このパンとぶどう酒が一つであるように、皆は一致しなければならないと言った。それが終わるとかれらは立って詩編を唱えた。
使徒たちはさらに附近を歩き、この用意のととのった弟子たちに聖なる秘跡について教えた。これは、いわば主のご死去後始めての教理の説明であった。私はまたかれらが手を差し伸べ、一切のものを共有し、一切のものを与え合い、完全に一つになろうと喜ばしげに語り合っているのを見た。そこには大いなる感動が支配し、光りに満たされているように見えた。 - マテオもまたラザロの家の中庭で、大勢の弟子たちに教えた。しかしこの人たちは、晩餐の広間の使徒たちの場合のように、それほど突き進んだ心構えをするまでには至らなかった - 。
朝早くペトロとヨハネはアンドレアと共に広間に行き、司祭の服をつけた。他の使徒たちは玄関で同じように祭服をつけた。次いでこの三人が至聖所にかけてあった幕を引き払うとそこには晩餐の卓があった。
イエズスが最後の晩餐にささげられた聖血の残りの入っている杯と、御聖体の載せてある小皿は聖櫃(タベルナクル)のような壁龕の中に安置されていた。その前には一つの枝だけに灯をともしたランプが輝いていた。
さてかれらは晩餐の卓を広間に運び、容器に入った御聖体をその上に置いた。他の使徒たちは(その中にはトマもいた)卓の周りに立った。ペトロは杯の台から引き出し板を取り出し、それに白い布の被いをし、その上に御聖体の載っている小皿を置いた。アンドレアとヨハネはかれの後に立って祈った。ペトロは深く身をかがめ御聖体を拝領し、ヨハネもまた同じように拝領した。それから小皿を回すと各々は聖餐を自身で拝領した。もはや聖血があまり入っていなかった杯に、かれらはぶどう酒と水を少し加え、一同それを拝領した。それからかれらは詩編を歌い、祈り、杯を覆い、卓と共に元の場所に運んだ、これは十一人の使徒が朝早く行った最初の祭式であった。
トマはそれから一人の弟子と共にサマリア地方に赴いた。