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六八 イエズス五百人の弟子たちに出現したもう
ティベリアデから南へ数時間の距離にあったこの場所から、ペトロは他の者および大群衆をともに西方の高台地方に赴いた。そこにはまた他の使徒や大勢の弟子たちおよび聖母とベロニカを除いた聖婦人たちがいた。またペトロと妻と娘、およびアンドレアとマテオの妻たちもベトサイダから来ていた。その外になお大勢の人々も居合わせた。使徒や弟子たちはここに集まらねばならぬことを知っていたのである。ペトロは使徒や婦人たちに漁りの奇跡を語ってから、皆と一緒に山に登って行った。
私はペトロが来た同じ方向からイエズスが来られるのを見た。主は山を登って行かれた。道に立っていた聖婦人たちは主の前にひれ伏した。主は行き過ぎながら言葉をかけられた。しかし主がこうして輝きつつ人々の間を歩み行かれると、多くの者は恐れおののいた。主は使徒たちの集まりの中央にお進みになった。
主は皆が一切の持ち物を捨て去らねばならぬことについてお語りになった。また迫害と永遠の報いについて預言された。主はこれらのことを、神殿における最後のお話しの際にされたように、むしろ使徒と弟子たちに向かってお語りになったのである。
主はまたかれらがまずエルサレムに留まり、主がかれらに聖霊をおお送りになったならば、父と子と聖霊のみ名によって洗礼を授けるよう指示をお与えになった。さらにかれらが教会を創立し、次いでさらに別れて各方面で信者を教会に集め、いよいよますます範囲を広めて行かねばならぬこと、しかしながらかれらは血の洗礼を受けねばならぬことなどをお語りになった。イエズスがお話しされている間、太祖たちの霊魂がこの集団をとりまいていたが、だれも気付かずにいた。最後にイエズスはその中央で消えて行く光のように見えなくなられた。多くの者はひれ伏した。
これは主が教え、またすべての者にそのご復活を明らかに示された、ガリラヤにおける主の最後の大きなご出現であった。他のご出現はむしろ秘かに行われたのである。 -
私はその後ベタニアにおける使徒を見たが、そこには四十人ほどの婦人を含めて、約三百人ほどの信者がかれらに従っていた。この人々は皆その財産を教会に差し出していた。また聖母もエルサレムからベタニアのマリアとマルタの家に来ておられた。開け放たれた広間で、大きな愛餐が催されたが、この時もまたパンが割かれ、杯が回された。
この頃エルサレムから四十人ばかりの兵士がベタニアに来た。かれらはオリーブ山で救い主を捕らえに来た兵士と同じ隊に属していた。かれらは神殿護衛兵なのである。
また衆議所の議員たちも衆議所に集まり、使徒を召喚したが、ペトロ、ヨハネ、およびトマが出頭した。かれらは使徒たちが集会を催したり、また民衆の間に不安を醸したと言って非難した。使徒たちはこの点について公に衆議所の前で訊問された。かれらは少しも恐れることなく率直にこの非難に答えた。
ベタニアの街の長老たちも、また兵士が使徒たちに対して文句があるならば、かれらを捕らえよ、そして最早この土地に兵士とのいざこざで騒ぎが起こらぬようにしたらよいだろうと抗議した。躓きを避けるために、ペトロは集まっていた信者の中の百二十三人を立ち去らせ、近在の友人の家に分宿させた。また四十人の婦人たちも去って、幾人ずつかのグループになって一緒に住んだ。ペトロはキリストのご昇天の前までには、一同がまたベタニアに戻って来るように命じた。使徒たちはベタニアからエルサレムの晩餐の家に赴いた。そこでかれらは再び至聖所の前のランプの下で祈った。そこにはかれらとともに七人の弟子もいた。 -
この頃ユダヤ人たちは、主のご苦難によって信者たちの間に特に神聖なものとなった場所を一切なくしてしまった。またイエズスがお教えになったことのある美しい場所は柵をめぐらして入られぬようにしてしまった。ただ聖なる墓だけはニコデモの所有だったので、こわされずに残っていた。
次の日の夕方、私は使徒一同と二十人の弟子たちが広間で祈っているのを見た。聖母および聖婦人たち一同、ラザロ、ニコデモ、アリマテアのヨゼフおよびオベドも居合わせた。祈りの後ヨハネは使徒たちに、ペトロは弟子たちに話した。かれらは主のおん母について、おん母がかれらにとっていかなる意義を持っておられるかを神秘豊かに語った。聖母マリアのこの地位は師がかれらに先日お示しになったのであった。
次いで玄関の間で食事が行われた。列席者一同は祭日着をつけ、聖母は婚礼服を着ておられた。しかし祈りの時には聖母は白いマントをまとい、ヴェールをおかけになった。そして今後は使徒のテーブルでペトロとヨハネの間にお座りになった。他の婦人と弟子たちは右と左の離れた食卓に座った。ニコデモとヨゼフが食事を運んだ。ペトロはイエズスが晩餐の際に分けられたように子羊をきちんと割いた。食事の終わりにパンと祝福されたぶどう酒がまわされた。
その後私は聖母が使徒とともに広間におられるのを見た。この時もまた聖母はペトロとヨハネの間に立ち、ランプの下でお祈りになった。そして至聖所が開かれると、一同はひかまずいた。
真夜中後、聖母はひざまずいてペトロの手から御聖体を拝領された。その瞬間イエズスが聖母にご出現になった。しかし他の者には主が見えなかった。聖マリアはまったく光と輝きにすき透っていた。使徒たちは主のおん母に対して今や特に尊敬を払っていた。聖母は付属の建物に行かれたが、そこにこの週間中お住みになっていた。聖母はそこでお祈りになった。
夜が明けそめる頃、私はイエズスが閉ざされた扉を通って、聖母の傍らに歩み寄られたのを見た。主は長い間聖母とお話しになり、如何に聖母が使徒たちを助け、また聖母がかれらにとって何であるべきかをお語りになった。
主は聖母に主のおん力とご援助とをお与えになったが、それはあたかも光が聖母の中に流れ込んで行くようであった。